2024/1/18
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1月のおはなし 「龍、竜、Dragon」 |
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1月のおはなしは「龍、竜、Dragon」です。 今年は辰年、龍の年ということで西洋文化と日本文化の龍についてお話をしたいと思います。
龍の英語は知っている人も多いのではないでしょうか。 龍 = dragon I dreamt of riding a dragon to India. = 龍に乗ってインドに行く夢を見た。 龍はカタカナ表記で「ドラゴン」と呼ばれることも多い生き物で、さまざまな物語に登場したりデザインとしてあしらわれる人気者です。 例えば古代中国の麒麟、ギリシャ神話のケンタウロスといったように土地固有の伝説や信仰に基づいて誕生する架空の生き物はたくさんいます。 でも、その中でも西洋文化にも東洋文化にも登場する知名度の高い架空生物って龍のほかには聞かない気がしませんか。 というわけで、さっそく東洋の龍から調べてみましょう。
まずは東洋文化の龍について紹介します。 龍は古代中国の伝説の生き物で、霊獣(れいじゅう)のひとつと考えられていました。 ちなみに、書き言葉では「龍」が東洋文化のもの、「竜」が西洋文化のものとして書き分けるそうですよ。
origin = 起源 Let's look into the origin of Asian dragons. = アジアの龍の起源をみてみましょう。 ここでは古代中国の伝説上の生き物だった龍は日本ではどのように広まっていったのかに注目します。 龍の存在は中国から主に美術品の装飾を通して伝来したようです。そしてその後は日本でも霊獣として大切にされるようになり、初代天皇である神武天皇は龍のおなかから生まれたとされています。 また、中国から伝来した龍ともともと日本にあった自然信仰が融合したことで日本でも龍が神様として祀られるようになっていったともいわれます。 川を思わせる長い体の形から水を司る神様として祀られたり、天に登っていく姿から運気上昇の神様として祀られることが多いようです。 日本の龍は中国の霊獣が日本に上陸、歴史とともに信仰の対象になっていったのなのですね。
見た目のことを聞きたいときはこのように聞きます。 どういう見た目? = What do Asian dragons look like? 日本を含めて、東洋文化でいう龍の外見の特徴はこんなかんじです。 1. 鹿のような角と長いヒゲがある。 Asian dragons have antlers and long whiskers. 2. ヘビのような体型。 Asian dragons are based on snakes. 3. タカのような爪をもっている。 Asian dragons have hawk-like claws. 「ーのような」は ”based on”(もとにしている) ”●●-like”(似ている)の2種類の言い方を使いました。何かを説明する時に日常的にも使えるフレーズですよ。 それにしても長い体と勇ましい角や爪。まさに強運に恵まれそうな姿です!
次はヨーロッパに伝わる西洋文化の竜についてみてみましょう。 西洋風の竜、いわゆるドラゴンといえば冒険ファンタジーやゲームに登場する恐竜のような生き物を想像する人が多いと思います。 東洋文化の龍とはまず姿形が違いますね。 西洋文化の竜は、日本のように古代中国から伝わったもののようですが、その後ギリシャ、ゲルマン、ケルトとさまざまな神話や文化をめぐって今の姿を確立していったようです。 詳しくみていきましょう。
Let's look into the origin of Western dragons. = 西洋の龍の起源をみてみましょう。 西洋文化の竜は神話やヨーロッパの文化を通じて少しずつ進化していったということですが、中でも歴史の古いギリシャ神話では悪魔のような存在だったようです。 ”dragon” の語源のなかでも最も古いとされる古代ギリシャ語の ”drakon” は「大蛇」、「鋭い視線(を送る)」といった意味。 大蛇 = serpent 竜は縁起がいいどころか、忌まわしく恐ろしい生き物だったのですね! その後も竜は災いの象徴として捉えられていて、架空の生き物どころか多くの英雄や王族たちが討伐する「悪の化身」として伝説や神話に登場しました。 実際に存在すると信じられていたこともあるようで、そこは日本の「鬼」と似ている気がしますね。 しかし、その後中世ヨーロッパで竜のイメージはがらりと変わります。 その証拠に、今でもヨーロッパには国や地域の旗に竜が描かれていることが珍しくありません。 災いから一転して知恵と気高さの象徴に変わるなんて、さぞ竜も驚いたことでしょう!
What do Western dragons look like? = 西洋の竜はどんな見た目なのでしょうか。 討伐されたりありがたがられたりと大忙しの竜ですが、次は見た目に注目しましょう。 古代の神話の頃の竜は、まだ中国の龍のようなヘビに似た姿でした。 ただ、絵や彫刻を見ると小さなコウモリのようなつばさが生えていることがわかります。 そこからさらに今っぽいトカゲ/恐竜寄りの見た目になったのは、竜の良いイメージが定着し始めた中世のようです。 これはけーこ先生の予想ですが、ヘビはキリスト教では悪魔の象徴なので、高貴なイメージへの変化とともに悪魔を連想させる見た目も変わっていったのではないかと思います。 そんな中世のころの竜の特徴をまとめると、 1. うろこで覆われていて角とつばさがある。 Western dragons are scaly and have horns and wings. 2. 種類によって火や毒を吐く。 Some dragons breathe fire or poison. 3. 体はトカゲのようで手足と尻尾が生えている。 Western dragons look like a large lizard, and they have longer limbs and a tail. 東洋の龍と比べて体格も良くなり、手足もしっかりした上につばさまで生えた西洋の竜。 生き物の中の最高ランクといったところでしょうか。 ちなみに東洋と西洋で共通している特徴の「角」ですが、厳密には違うタイプの角なので、英文では ”antler” と ”horn” と言い分けています。 antler = 枝状の角 horn = 中が空洞のくるっと巻いた角 です。日本語と違ってちゃんとそれぞれ単語があるのが面白いですね。
今回は辰年にちなんで龍と竜についてみてみました。 スタート地点は同じ古代中国なのに最終的にまったく違う存在になっていく様子は大変興味深いですね! わがままなけーこ先生は、東洋の龍にあやかって幸運を、そして西洋の竜にあやかって気高さをぜひさずかりたいものです。 みなさま良い2024年を!そして本ブログも引き続きよろしくお願いいたします! |
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