2025/5/16
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5月のおはなし 「May Birthstone」 |
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5月は空気が夏の香りに変わり始めて、景色も一気に緑色が鮮やかになっていく時期。 そして5月の誕生石はそんな季節にぴったりな緑色の宝石、エメラルドです。 エメラルドにはどのような歴史や五輪があるのでしょうか?
5月の誕生石教えて? = Can you tell me the birthstone for May? もちろん、エメラルドだよ! = Sure, it's emerald! 5月の誕生石はエメラルドです。 ルパンが盗みそうな宝石の筆頭というイメージがあるのは私だけでしょうか。 それはさておき、エメラルドはベリルという鉱物の一種で、不純物(微量の元素)によって緑色になったものをさします。 不純物は宝石を構成する主成分が作り出す色を変化させる元素のこと。 例えば同じベリルの仲間で3月に紹介したアクアマリンは、ベリルに鉄が混入したものでした。 ではエメラルドはというと、ベリルにクロムやバナジウムが混入したものです。 ほかにはどのような特徴があるのでしょうか。
What kind of stone is Emerald? = エメラルドはどんな石? エメラルドは、3月の誕生石アクアマリンと同じベリルという鉱物の仲間だとお話ししました。 しかしそれよりも興味深い特徴として、無傷なものがないという点が挙げられます。 エメラルドは、結晶になる過程で必ずと言っていいほどインクルージョンや傷が入るからです。 インクルージョンとは、内包物といって、ほかの鉱物、液体、気体を含んだ混入物のこと。 ということで、宝石は傷が少ないほど価値が上がるイメージですが、エメラルドに関しては逆の現象が起こります。 インクルージョンがエメラルドの地中で過ごした記録となり、天然石の証となり、その価値も上がるのです。 ただ、インクルージョンのせいでエメラルドは割れやすく加工が難しい石としても知られています。 例えば、気泡が混入していたり日々が入っているせいでジュエリーに加工中石を爪にセッティングしただけでくしゃっと割れてしまうこともあるのだとか。 そんな繊細なところも、エメラルドの人気の理由のひとつなのかもしれません。
Let's look at some stories behind emerald. = エメラルドにまつわるストーリーをいくつかみてみましょう。 エメラルドにまつわる話は紀元前、古代エジプト時代に遡ります。 古代エジプトの女王だったクレオパトラはエメラルドがとても好きで、気に入った大使に贈り物したり、粉末状にしたエメラルドをアイメイクに使用したとも言われています。 当時のエジプトも今のように砂漠地帯が広がる大地でしたがエメラルドが採れる鉱山がありました。 クレオパトラはそこに自分の名前を冠した鉱山を所有していたのだそうです。 さらに、古代ローマ時代にもエメラルドに関する面白い記述があります。 博物学者のプリニウスが出した「博物誌」によると、エメラルドは「これ以上ない魅力的な緑色」でさらには目の疲れを癒す効果があるとも記されています。 プリニウスは、緑色に輝くエメラルドに神秘性を見出すとともに、緑色がもたらす癒し効果にも気が付いていたのかもしれません。 これらの逸話の影響を受けてか、パワーストーンの世界ではエメラルドは心身の安定をもたらす癒しと英智の石とされています。
What is emerald traditionally called in Japanese? = 日本で古くからのエメラルドの呼び方はある? エメラルドの和名は翠玉(すいぎょく)か緑玉(りょくぎょく)です。 その名の通り緑色の石という意味の名前ですが、実は日本ではエメラルドよりも歴史的に身近な緑色の石があります。 それはヒスイ、英語名は ”jade” です。 ヒスイは縄文時代から加工が行われていたとされ、多くの勾玉や大珠(たいしゅ。穴を開けた5センチ以上のビーズで、楕円形や円形などの形がある)が出土しています。 装飾品だけでなくお守りとしても使われたヒスイは、幸運の象徴として長い間親しまれてきました。 そして、それを証明するかのように日本では5月の誕生石はエメラルドだけでなくヒスイも入っています。 深い緑が輝くエメラルドと艶やかで優しい緑のヒスイ。 どちらも美しいです!
5月の誕生石エメラルドと、最後ヒスイについてもおはなししました。 エメラルドは古代文明の時代から富と権力の象徴で、多くの王族や貴族から愛されました。 眼精疲労に効くと信じられていたことはおどろきでした。 本物に触れることがあったら石の中に刻まれたヒビやインクルージョンを鑑賞してみたいですね。 |
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