2025/4/24
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4月のおはなし 「April Birthstone」 |
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4月の誕生石のおはなしです。 宝石の代名詞といってもいいかもしれません。 宝石といえばでまず思い浮かべるひとがきっと多いはずのあの石…ダイヤモンド! 由来や歴史についてみていきましょう。
Do you know the birthstone for April? = 4月の誕生石知ってる? すでに紹介しましたが4月の誕生石はダイヤモンドです。 透明でキラキラしていて、今では結婚指輪に使う石としても定番になっていますね。 ダイヤモンドが初めて発見されたのは紀元前4世紀のインドでした。 今ではボツワナ、ロシア、カナダが採掘国上位3位になっています。 そんな長い歴史をたどりつつダイヤモンドについてお話したいと思います。
Let's look into the history of diamonds. = ダイヤモンドの歴史をみてみましょう。 紀元前4世紀インドで発見されたダイヤモンドは、さっそく貴重品として取引されました。 しかしその目的は今とは少し違って、魔除けや装飾に使うためでした。 インドで取引されていた時代のダイヤモンドは原石で、白っぽく濁った色をしていました。 では、ダイヤモンドの価値はどこにあったのかというと、その硬さです。 世界一の硬度をもつダイヤモンドは、仏教の文化で珍重されて魔除けや釈迦の玉座の飾りにも用いられるようにもなりました。 今のようにいわゆる宝石、富の象徴、として高値で取り扱われるようになったのは15世紀以降の主にヨーロッパ諸国で、宝石の研磨加工技術が向上してからです。 さらに、イギリスのビクトリア王朝時代(19世紀後半)になると、結婚指輪に使う石としてのステータスも定着しました。 このように長い歴史を通してさまざまな国や文化で愛されてきたダイヤモンドですが、その美しさは残念ながら差別や紛争のもとにもなりました。 1980年代から90年代、アフリカ南東部の多くの国では内戦や紛争が起きていました。 そして、その多くの地域はダイヤモンドが採掘される地域でした。 ダイヤモンドは戦争の資金源として使われてしまっていたのです。 このように悪用されたダイヤモンドは「Conflict Diamond」(紛争ダイヤモンド)や「Blood Diamond」(血のダイヤモンド)と呼ばれ、今でも市場に出回っているとされています。 もちろん名前がついた状態で出回っているわけではありませんし、今では紛争ダイヤモンドではない証明書を発行する制度があるなど対策努力もなされています。 しかし、それも現地内外の問題の解決までは至らないのが現状です。 悪質な採掘や取引の取り締まりと、生活の糧や国の財源としてのダイヤモンドの活用のバランスを取るのは簡単なことではありません。 ダイヤモンドをはじめ、天然資源は世界中で紛争や対立の種になるという事実があります。 そして同時にそれに立ち向かっている人たちも大勢います。 それらを全部ひっくるめてポジティブな思いで世界に目を向けられるようになりたいですね。 We learnt about "conflict diamonds" at school. = 学校で紛争ダイヤモンドのことを習った。
Why do people love diamonds so much? = ダイヤモンドはどうしてこんなに愛されてきたの? ダイヤモンドはその強靭や輝きで人類史に大きな影響を及ぼしてきたことがわかりました。 次はダイヤモンドという石に人が重ねてきた意味やストーリーを紹介します。 ダイヤモンドという言葉の由来はギリシャ語の ”adamas” で、征服されざるものという意味だそうです。 実はダイヤモンドは鉱物の硬さ(傷つきにくさ)を図るモース硬度(Mohs Hardness scale)という単位で唯一最上の10に当てはまる石で、科学的にも世界で一番硬い鉱物だと証明されています。 ただモース硬度が考案されたのは19世紀のこと。 紀元前インドの仏教徒もそうですが、まるですでにこのことを知っていたかのような語源ですね! 最初に少し触れましたが、古代インドではダイヤモンドは宗教的に大切な意味がありました。 具体的にいうと、ダイヤモンドはその硬さから堅固さ、清浄さ、絶対的実存の象徴となり、仏具や釈迦像などの宝飾に使われるようになりました。 時が進んで19世紀になると、ダイヤモンドの魅力は一気にそのきらめきに移りました。 宝石の研磨加工技術が進み、さらに採掘量も上がったことでダイヤモンドは王室や貴族を中心に中流階級の人たちの間でも人気を博したのです。 このあたりから、ダイヤモンドは研磨とカットという加工をされてジュエリーに埋め込まれるのが普通になりました。 ペンダントやブローチ、指輪などいろいろなジュエリーが作られ、今もアンティークジュエリーとして高い人気を誇っています。 ちなみに、当時の加工は ”rose cut” ローズカットというデザインが人気だったようです。 現代の主流は ”briliiant cut” ブリリアントカットと言って、光の屈折と反射を最大限に活かす加工法です。 それと比べてローズカットは ”rose” バラのつぼみのような丸みのあるカットで、優しくロマンチックに輝くのが特徴です。 Diamonds have a hardness of ten in the Mohs hardness scale. = ダイヤモンドはモース硬度で10です。 Rose cut diamonds have a soft, romantic glow. = ローズカットのダイヤモンドは優しくロマンチックに輝く。
What's the Japanese name for diamond? = ダイヤモンドの日本語の名前はなに? ダイヤモンドには「金剛石」という和名があります。 読み方は「こんごうせき」です。 仏教における「金剛」とは何物にも壊されないものを意味するのですが、ギリシャ語の語源 ”adamas” と同じ意味なのが本当に興味深いですね! ただ、実際に日常的に「金剛石」という言い方をしている人を聞きません。 それは「金剛」という言葉が宗教的な意味に由来しているからです。 「金剛」とは仏教の概念で智慧、悟り、不変性を表す言葉です。 ダイヤモンドが「金剛石」と呼ばれるのは、ダイヤモンドの性質に仏教の教えや教えを実行する心を重ね合わせているからなのです。 石だけではなく、「金剛」がつく仏教の言葉は他にもあります。 金剛力士 = こんごうりきし 仏教の守護神。2対で1組とされ、寺院の門の両側に安置されていることが多い。 金剛杵 = こんごうしょ 金剛力士が持っている武器。煩悩を打ち砕いて悟りを求める様を表している。 金剛心 = こんごうしん 仏教の教えを信じて堅固な心。苦難や破壊に負けない心。
ダイヤモンドの話はいつもより情報量多めでお届けしました。 まず、ダイヤモンドは宗教的にも文化的にもとても愛されてきた石ということを知りました。 また、その美しさゆえ世界情勢や政治経済にも影響をおよぼしてきたことも知りました。 ダイヤモンドに限らず、私たちが普段目にしているいろいろなものにも実はストーリーやゆかりがあります。 そんなことを心のすみっこにとどめておくと、身の回りの人やものにいつもより優しく向き合えるかもしれません。 ※4月は諸事情によりブログの更新を1回とさせていただきます。 |
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