2025/6/18
|
|||||
6月のおはなし 「June Birthstone」 |
|||||
6月、梅雨入りしたと思ったらなんと先に真夏日が先にくるという展開で、今年もハードな夏になりそうな予感ですね。 ともあれ今回は夏にぴったりな誕生石のおはなしです。 ニュースレターでも紹介しましたが、「石」ではない唯一の誕生石、真珠です。
Tell me what the birthstone for June is! = 6月の誕生石を教えて! It's pearl, although it really isn't a stone. = 真珠だよ、ただ本当は石じゃないけどね。 乳白色で時上品に輝く真珠は、日本では冠婚葬祭で必ず身につける石としてたい着していますね。 黒いものやベージュがかったものなど、案外色の種類は多いですが、共通してミルキーな色合いで気品を感じます。 淡水でも海水でも、水の産物である真珠は世界各地で採取されています。 そう、上の英文でも触れていますが、真珠はいままで見てきた宝石たちのように地中や山で採掘されるものではなく水の中、それも貝の中で育つものなんです。 日本では三重県、愛媛県、長崎県が三大産地で、世界規模でいうと主要産地はオーストラリアやインドネシアです。 そしてこれらの産地で採取されているのは養殖真珠。 現在市場で取り扱われている真珠も、ほぼすべて養殖真珠です。 天然の真珠も出ることはありますが、養殖ものより生成に時間がかかるのと、運良く貝の中で加工できる大きさまで形成された真珠が運良く人に見つからないといけないのでかなりレアで高額になります。 さらに、現在取り扱われている天然真珠はアンティーク品が多いという点も高額になっている要素かもしれません。 そんな水の宝石真珠についてもっと詳しくみていきましょう。
Where do pearls come from? = 真珠ってどこからくるの? Pearls are formed inside shelled mollusks, especially Akoya oysters and White pearl oysters. = 真珠は二枚貝、特にアコヤ貝や白蝶貝の体内で形成されます。 真珠は海産物であると同時に人工物であるということもわかりました。 そこで、まずは真珠の養殖について簡単に説明しましょう。 真珠の養殖では、技師の人たちがひとつずつ貝の中に核といわれる小さな玉と真珠質の材料になる貝の組織を挿入します。 すると貝は入ってきた核に反応して核の周りに真珠層を巻き付けていきます。 その後も人の手によって大切に1年から3年育てられた貝の中で、核は真珠質をまとって丸く艶やかに成長していくのです。 真珠は母となってくれる貝がいて、それを育てて世話をする人間がいて初めて世にでることができるものなのですね。 では、天然の真珠はどうやってできるのでしょうか。 天然の真珠も養殖真珠も構造は同じですが、天然ものの場合貝が偶然体内に取り込んだ個体のまわりに真珠層が巻き付けられていって真珠になります。 まず、多くの場合体内に入った個体はいずれ吐き出されるので真珠になるまで貝の中に留まっていることが大変な奇跡です。 さらに、貝の中で真珠と呼べるくらい大きく育っても、それを今度は人間が何度も海を潜って見つけなければ触れることさえできないのです。 真珠は、古代から中世の人たちにとって危険を冒してでも手にしたい奇跡の産物、神の恵みだったのですね。 養殖もののように形や色にもばらつきがある点も、逆に自然の奇跡を体現したかのような神秘性を感じさせたのかもしれません。 天然真珠の採取に関しては、古くは5000年以上前からペルシャ湾で発見されていた記録が残っているそうです。 日本でも、約5500年前縄文時代の福井県鳥浜貝塚から天然パール(トリハマ・パールと呼ばれている)が出土していたり、魏志倭人伝に卑弥呼が魏に真珠5000粒を献上したという記述が残っています。 魏志倭人伝の時代、弥生時代は養殖真珠の技術はなかったので天然の真珠をやりとりしていたのでしょう。 天然の真珠をどうやって5000個もの真珠を集めたのか、考えただけでもきが遠くなります。 でも、真珠を使って交易をしている過程でもっと簡単に真珠を手にいれる方法はないかと模索する人たちが現れ、真珠養殖のいしずえになったのではという想像はできます。 ちなみに真珠の養殖に世界で初めて成功したのは日本なのだそうです。
Are there any legends or historic stories behind pearls? =伝説や歴史のなかで真珠にまつわる話はある? 日本と真珠の関係が濃いことは分かりましたが、真珠というとけーこ先生はまず西洋絵画を思い出してしまいます。 王侯貴族が肖像画で身につけている宝石というイメージです。 まさしく富と権力と美の象徴!ぜひインターネットでエリザベス1世やマリー・アントワネットの肖像画を検索してみてください。 それはそれは数え切れない数の真珠がドレスやら髪の毛やらあちらこちらに散りばめられています。 当時の真珠の産地は主に南米パナマ湾やインド洋のセイロン島(現スリランカ)、それに中東のペルシャ湾。 真珠はヨーロッパ外から入手するしか手がありませんでした。 こうして貴族階級や国家の需要の増加とともに権力、財力の象徴としての真珠のステータスがアンバランスにあがってしまいました。 そしてそれは真珠産地の植民地化や新大陸発見に伴う侵略という負の歴史を産んでしまったともいえるでしょう。 良くも悪くも真珠は古来より人を魅了し続けてきたのです。 では、真珠が今のように日常使いできてカジュアルスタイルにも合わせられるようになったのはいつからなのでしょうか? それには、フランスの有名ファッションデザイナー、ココ・シャネルが大きく関わっているとされています。 ココ・シャネルは真珠好きで知られています。 それまでの格式と伝統を打ち破るようなファッションをつぎつぎ世に発表したシャネルは、天然、養殖、さらにはイミテーション・パールをミックスで重ね付けするスタイルを提案。 それまでの天然至上主義を覆す革命を起こしました。 中世から続いた真珠のステータスを蹴飛ばして、階級の壁を超えて誰しもが楽しめるアクセサリーに転身させたシャネルの功績は偉大です。
Is there an actual stone listed as a June birthstone? =6月の誕生石で石のものはある? Sure! They are moonstone and alexandrite. = もちろん!ムーンストーンとアレキサンドライトだよ。 真珠は見た目的にも歴史的にも誕生石にリストアップされて全く遜色ない宝石であることはまちがいありません。 しかしあえて聞きたい、6月に誕生「石」はあるのか! そしたらなんと2つも出てきました。 ムーンストーンとアレキサンドライトで、アレキサンドライトは2021年にリスト入りした新米ちゃんです。 簡単に紹介します。 ムーンストーンは和名「月長石げっちょうせき」。 ムーンストーンが鉱物のなかでも長石という種類に分類されることと、月の光を集めた石と言われているところからきているそう。 たしかに、透明感のある内側からぽわっと光る姿は月光をきゅっと集めた様子に似ているかもしれません。 対してアレキサンドライトは赤色と緑色に光る石です。 といってももちろん同時ではなく、当てる光の種類によって赤く光ったり緑に光ったりするのです。 太陽光の下では緑色、白熱光やろうそくの光だと赤色に光ります。 (…ちなみに、現在幅広く普及しているLED光ではあまり色の変化が見られないそうです。 その辺のカラクリは理科の光の仕組みにぐっと入るのでここでは割愛します…) 和名は「変彩金緑石へんさいきんりょくせき」、変彩=カラーチェンジの特徴がちゃんと入っていますね。 みなさんは6月生まれだとして、どの誕生石を選びますか?
I didn't know that June had three birthstones! =6月に誕生石が3つあったなんて知らなかった! けーこ先生はこの中だと日本の6月にはムーンストーンが一番合うかなと思いましたが皆さんはどうですか? 真珠、ムーンストーン、アレキサンドライトと3つも宝石がリストアップされている6月ですが、実は本ブログのベースにさせてもらっている "American Gem Society" によると8月と12月も誕生石が3つあります! そちらも楽しみにしながら、まずは梅雨を乗り切りましょう。 |
|