2024/5/16
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5月のおはなし 「Memorial Day」 |
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海外の祝日シリーズ、5月はアメリカの祝日 ”Memorial Day” の紹介です。 ニュースレターでも触れましたが、 ”Memorial Day” の ”Memorial” は「記念の」や「追悼の」という意味があります。 では、何を忘れない日でどのようにお祝いをするのでしょうか。
”Memorial Day” は日本語では「メモリアル・デー」あるいは和訳して「戦没将兵追悼記念日」といいます。 Memorial Day = メモリアル・デー Memorial Day = 戦没将兵追悼記念日 日程は毎年5月の最終月曜日です。 では、この祝日はどのようにしてうまれたのでしょうか。
”Memorial Day” の起源は、アメリカで19世紀に勃発した南北戦争に遡ります。 南北戦争は、1861年4月12日から1865年4月9日の約4年に渡って行われたアメリカの内戦で、北部の「アメリカ合衆国」とそこから離脱して結成された南部の「アメリカ連合国」が衝突しました。 背景や内容はここでは割愛しますが、アメリカが独立してから現代までで唯一起きた内戦であるこの戦いは、多くの犠牲の末北軍の勝利で終わりました。 ちなみに、北部勢力の指揮をしたのは当時の大統領でアメリカ国内における奴隷解放でも有名なエイブラハム・リンカーンです。(開戦は大統領就任直後) この戦争が終わった後、ひとびとは戦いで命を落とした兵士をしのぶ催しを北部南部問わずあちらこちらで開催するようになりました。 そんな中1868年、北軍の退役軍人組織 ”Grand Army of the Republic” (グランド・アーミー・オブ・ザ・リパブリック)を率いるジョナサン・ローガン大将が5月30日を祖国のために命を捧げた軍人を追悼する公式の記念日に制定します。 この日は当初 ”Decoration Day” 「デコレーション・デー」と呼ばれ、南北戦争で亡くなった兵士たちのお墓を国旗で飾ったり(デコレーション)していました。 その後1882年に ”Memorial Day” と改称されると、この日は南北戦争の戦没者に限らずそれまでのすべての戦争で亡くなった兵士たちを称える日として定着していきます。 お祝いの日については、最初はローガン大将が制定した5月30日でしたが国民の祝日にしなかったこともあってか、特に敗れた南部の州では5月30日以外の日を追悼にあてるところも多かったようです。 その後1971年にリチャード・ニクソン大統領がメモリアル・デーを5月の最終月曜日に正式に制定、さらには国民の休日にしたことでメモリアル・デーはアメリカ全土で戦没兵士に敬意を表す日として認知されるようになりました。
今のメモリアル・デーは毎年5月の最終月曜日。 この日は多くの人が教会に出向いたり墓地に花を飾りに行ったりします。 多くの国立墓地ではボランティアの手によってひとつひとつの墓石に星条旗が飾られます。 学校では祝日をきっかけにした平和学習として退役軍人の話を聞く機会があったり、祝日を象徴する花であるけしの花にちなんだ工作をしたりします。(今回のアイキャッチの花がそうです!) また、5月末という季節柄、今では家族でピクニックをしたり、学年の終わりと夏休みの始まりを祝って仲間同士集まって遊ぶ様子も多く見られます。 直前の週末も含めて音楽やスポーツイベントも多く開催されるので、賑やかに楽しく過ごす人も少なくありません。 祝日制定から約50年が経過した今、メモリアル・デーの追悼の要素はうすくなってきているのかもしれません。 ただ、その日を今は亡き兵士たちを偲ぶ日だという認識はアメリカ人であれば忘れずに抱いているものなのではないでしょうか。 大体的や直接的ではなくても親族や友達と集まるのは日本のお盆やお彼岸に、平和学習は日本の終戦記念日と少し似ているのかもしれません。
今回はアメリカの祝日「メモリアル・デー」を紹介しました。 原型となったデコレーション・デーが生まれてから約1世紀半もの時間をかけてゆっくりと今の祝日の形になったメモリアル・デー。 成り立ちを見ていくとアメリカの歴史が少し見えてきてとても興味深いですね。 今年のメモリアル・デーは5月27日です。 興味をある人はSNSなどでアメリカの様子をのぞいてみるのも楽しいかもしれません。 コンサートやスポーツイベント、さらには追悼式まで、いろいろな角度からアメリカ文化を知るいいきっかけになるのではないでしょうか。 |
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