2024/6/14
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6月のおはなし「Summer Solstice」 |
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6月に入りましたが、今年2024年は多くの地域で梅雨入りが遅れていますね。 晴れて明るくて気持ちのいい日が多いのは良いのですが、気温が高い日は一転真夏並み、7月並みの気温になったりで体が追いついていかないという人もいるのではないでしょうか。 今回取り上げる夏至(げし)は、日本では祝日ではありませんが、そんな四季のお天気の移ろいを示す大切な節目です。 また、世界的に見ても季節の節目を示したり神事、祈願に関係する重要な存在です。 夏至を祝日としている国もあります。 では、夏至とはどんな日で、世界ではどのように迎えられているのかいくつか例をみていきましょう。
What's 夏至 in English? 夏至は英語で ”summer solstice” です。 夏至 = summer solstice ”solstice” は「太陽」という意味の ”sol” で始まっていて、さらに後半の ”stice” は「とどまる、動かない」という意味のラテン語からきています。 というわけで、英語的には夏至の言葉の意味は「太陽が動かない日」ということになります。 夏至は太陽が空の一番高い位置を通る日です。 太陽が空の一番高い位置を通るということは、日の出から日の入りまで一番距離が長い=日が長い ということ。 太陽がなかなか沈まない様子から「太陽が動かない」というネーミング?になったのかもしれませんね。 Summer solistice is when the sun travels the longest path through the sky. = 夏至は太陽が天空を一番長い距離移動する日です。 (もちろん太陽は移動していないのですが、そこは地球から見た印象ということで理解してくださいね!)
What kind of events are there during the summer solstice? = 夏至にはどんなイベントがあるの? 日本では夏至は祝日でもなく、暦の上で大切にされている節目という意味合いが大きいかもしれません。 そのためか、有名なお祭りや行事は聞きませんが、夏至の時期を中心に茅や藁の大きな輪っかの中をくぐって厄払いをする神事が全国の神社で執り行われたりします。 ニュースなどで聞いたことがある人、実際に輪をくぐりに行ったことがある人もいるかもしれません。 日本人にとって夏至は暮らしに根づいた風習、年中行事なのですね。 また、特定の食べ物を作ったり食べたりする地方もあるようです。 日本では人の暮らしに溶け込んでいる印象の夏至ですが、海外には日本とはまた一味違う夏至のお祝いがあります。 Let's look at how the summer solstice is celebrated around the world. = 世界で夏至はどのようにお祝いされているのかみてみましょう。
ヨーロッパの国(特に北部)ではふだんから太陽が出ている時間が日本より少ないです。 そのためか、日が一番長い夏至の日前後にお祝いやお祭りをする地域がたくさんあります。 まず紹介したいのが世界的にも毎年多くの人が訪れるイギリスの夏至祭です。 イギリス南部にあるストーンヘンジは、世界的によく知られた古代遺跡で、高さ7メートルほどの石の柱が円を描くように配置された環状列石(stone circle、ストーンサークル)です。 誰がどのようにして作ったのかなど謎の多いこの遺跡は、夏至になるとさらにたくさんの人で賑わいます。 お祭りの名前は特になくストレートに ”summer solstice” (夏至)と呼ばれているようですが内容はとてもスペシャル! 夏至の朝にしか見られない現象を見られる上、場内は無料で入れるとあって毎年国内外から多くの人が集まります。 では何が起こるのかというと、夏至の朝、太陽がストーンヘンジから少し離れたところにある門のような対の石 ”heel stone” (ヒールストーン)のあいだを通るような形で昇ります。 そして、サークル中心部にある ”altar stone” (オルターストーン、オルターは祭壇のこと)を照らすのです。 ちなみに、この現象はサークルの別の角度から照らす形で毎年4回(夏至のほか、冬至、春分、秋分)起こり、祭事も毎回執り行っています。 ここでは諸説あるストーンヘンジのなりたちや歴史については省略しますが、ストーンヘンジの夏至祭りは、自然と歴史と文化に同時に触れられる貴重な祭りといえるでしょう。 Stonehenge is a stone circle made of many huge boudlers. = ストーンヘンジはいくつもの大きな岩で作られた環状列石です。 I want to go to Stonehenge fo this year's summer solstice. = 今年の夏至はストーンヘンジに行きたい。
次もヨーロッパ、特に北欧のスウエーデンやフィンランドが有名な夏至祭を紹介します。 日本は梅雨真っ盛りでも、北欧諸国では6月に入るころにはもう夏が始まっているので、夏至の時期は真夏(midsummer ミッドサマー)です。 北欧特有の短い夏を祝って、太陽の恵みや生命力を吸収するように音楽やダンスを楽しみます。 先に紹介したイギリス同様、夏至祭りの固有の名前はありません。 日本でいう「夏祭り」や「納涼祭」のように ”midsummer festival” (真夏のおまつり)と呼びます。 この夏至祭りは多くの北欧の国で開催されているのですが、多くの場合集まったひとびとは手を繋ぎ輪になってダンスを踊ります。 地元の人なら民族衣装を着て、 ”maypole” (メイポール)と呼ばれる柱のまわりを周りながら踊るこのダンスは、農作物の収穫を祝う、子孫繁栄を願うなどの意味が込められています。 短い夏を楽しんでこの先巡ってくる季節や時代の幸せも願う素敵なお祭りです。 People are dancing around the maypole. = たくさんの人たちがメイポールのまわりを踊っているよ。 June is midsummer in the scandinavian countries. In Japan midsummer comes in August. = 6月は北欧の国では真夏です。日本では真夏は8月にきます。
大西洋を渡って今度はアメリカ大陸を見てみましょう。 夏至の時期、北極圏やそれに近い緯度の地域では白夜という現象が起こります。 白夜 = midnight sun (夜中の太陽) 直訳するとめっちゃかっこいいのか厨二病なのかわからない感じですが、白夜とは太陽が一晩中沈まない現象のことです。 朝日が出てから翌日まで太陽が沈まないのはもちろん、沈んでも完全に暗くはならずに薄明るい状態のまままた日の出を迎える状態も白夜です。 (今回のアイキャッチは白夜の風景をイメージして描いたものです。) そんな白夜に行われる面白いイベントがアメリカアラスカ州にあります。 アラスカ州のフェアバンクスでは1906年から ”Faribanks Midnight Sun Baseball Game” (訳すと、フェアバンクス白夜の野球大会)を開催しています。 白夜に合わせた開催だけあってプレイボールはなんと22時! それでも世界中から多くのファンがこの日のためにフェアバンクスを訪れるといいます。 ヨーロッパの夏至祭と違って神事や祈願の目的ではありませんが、貴重な気象現象を楽しんで祝う心は共通していますね。 It sounds fun to play baseball in the midnight sun. = 白夜の中野球をするなんて楽しそうだな。
今回はいろいろな地域の夏至についておはなしをしました。 ストーンヘンジやフェアバンクスは、現地に行って直接体験してみたくなるイベントですね。 北欧の夏至祭も、今回は北欧諸国とひとくくりにしてしまいましたが、厳密に国ごとに見ていくと違いや共通点がいろいろ見つかるのではないかと思います。 今年の夏至は6月21日(金曜日)です。 日本式に輪くぐりをしに行ったり、アラスカにならって野球をしたり見たりするのも良さそう! 楽しい夏至を過ごしてくださいね。 |
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