2025/7/17
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7月のおはなし 「July Birthstone」 |
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今年の日本は去年よりもさらに長くて暑いというとんでもない予報が出ているそうです。 来る日も来る日も暑くてまるでサウナかかまど。 そして、7月の誕生石はそんな暑さを象徴するために決まったのではないかと思うほど炎や太陽の暑い色を思い出させます。 Ruby is a fire-like red stone. = ルビーは炎のような赤い石です。 透明感がありながら鮮やかな赤色で高級宝石としての地位を確立したルビーについてもっと知りましょう。
Ruby is the bnirthstone for July. = 7月の誕生石はルビーだよ。 ルビーは主に東南アジアやスリランカ、モザンビークでも取れる石で、特にミャンマーで取れる "Pigeon's Blood" (日本語で鳩の血)と呼ばれるものは最高品質の石として取り扱われるのだそうです。 …鳩の血という例えには少しおどろきますが、たしかにルビーといえば深く透明感のある赤色という印象はありますね。 実際には産地によって色合いの特徴があって、例えばタイ産は黒味がかっているとかスリランカ産はチェリーピンク(ピンクがかっている)などのバリエーションがあるそう。 というのも、ルビーは鉱物的には「コランダム」という石の仲間で、コランダムの中のクロムが赤い色を作り出しているのです。 (コランダムには実はもうひとつ誕生石があります。8月以降お楽しみに〜) マーケットでの価値も大事かもしれませんが、すきな赤を探すのも楽しそうですね。
What kind of stone is ruby? = ルビーってどんな石? ルビーはその美しさと希少性から「宝石の女王」とも呼ばれている宝石です。 宝石として使われていた起源はよくわかっていません。 しかし主な産地であるスリランカでは、歴史を記した詩「マハーワンサ」(5世紀ごろ編さん)にルビーの記述があるそうです。 隣国のインドでもルビーは珍重されていて、ヒンズー教では、神様にルビーを捧げると来世で皇帝として生まれ変われると信じられていたり、戦士を守る「勝利の石」だとも信じられていました。 ヨーロッパでのルビーの歴史はそれと比べると浅く、ルネサンス以降人気や知名度があがっていきました。 とはいえ、遥か遠くのアジアでしか採れない石です。 入手したり身につけたりするのは王族や貴族の特権でした。 「ルビー」という呼び名ができたのもこの頃で、語源はラテン語で「赤」の "ruber" 。 石を組成分析技術が未発達だったこともあり、他の赤い石(スピネル、ガーネットなど)も含めて「ルビー」と呼んでいたそうです。 実際、イギリスには、この時期からルビーと呼ばれていて、後世にスピネルという別の石だったことが判明した170カラットもの大きな石があります。 こちらについては次のセクションで紹介します。
Tell me more about the crown jewel of England. = イギリスの王冠の宝石についてもっと教えて。 後にルビーではないと判明したある宝石の話をします。 その石は「黒太子のルビー」"Black Prince's Ruby"と呼ばれ、今でもその名でロンドン塔で保管されているそうです。 「黒太子のルビー」は、大英帝国の王冠の中央に据えられている石で170カラットもあります(長さ5センチ)。 現スペインのカスティーリャ国王から14世紀に譲り受け、太子の死後もさまざまな人や国の手に渡り最後にはまたイギリス王室に戻ってきました。 そんなイギリス王室に縁のある宝石が実はルビーではないと判明したのは18世紀ごろ。 スピネルとルビーは産地も組成も近いので最初は同一の石とされていたのですが、実は硬度や密度が違う別の石だということがわかったのです。 とはいえ、スピネルはルビーのニセモノでも粗悪な石でもありません。 希少性はルビーよりも高いし、そもそも170カラットというサイズがある時点でそれは大変な価値のある石です。 このエピソードのように、これからも宝石の鑑定技術や加工技術が向上して新しい宝石が増えていくかもしれないと思うと、少し楽しみな気もしますね。 スピネルもルビーと同じくらい価値のある石です。 = Spinels are as precious as rubies.
ルビーにも和名があります。 = There is a Japanese name for ruby, too. ルビーの和名は「紅玉」、こうぎょくです。 まさしく赤い石というストレートなネーミングですね。
7月の誕生石はルビーでした。 ルビーは赤い宝石のなかでも高価で人気のある石です。 石の価値や値段を勝手に決めているのは人間ですが、そのおかげでいろいろな技術が発達したり歴史が動いたりしていると思います。 ルビー、スピネル、ガーネットと、赤い宝石だけとってもさまざまな個性を持つ石があります。 そしてどの石もとてつもない時間や地中の奇跡の積み重ねから産まれているのだということを改めて忘れてはいけません。 次は3つも誕生石がある8月、楽しみにしていてくださいね。 |
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